日本・世界から選りすぐりの15本──山形国際ドキュメンタリー映画祭2025、コンペ部門ラインナップ発表!

第19回山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF 2025)が、2025年10月9日から16日にかけて山形市で開催される。今年のインターナショナル・コンペティション部門には、世界129の国と地域から1,318本の応募があり、上映作品として14本が発表された(残る1本は後日公開予定)。

今回は、板倉善之の『Ich war, ich bin, ich werde sein!』と清原惟の『A Window of Memories』という2本の日本人監督作品が選出。複数の日本作品が同時に選ばれるのは2017年以来となる。

そのほか、民主化デモの余波を背景に描く『日泰食堂』、カリブの再開発を映す『彷徨う者たち』、戦禍のウクライナを捉えた『標的までの時間』、パレスティナの記憶と個人史が交差する『ガザにてハサンと』など、個人のまなざしを通して時代と社会を映す作品が並ぶ。

今年のポスターは、東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科の戸島楓子が手がけた作品が採用された。「積み石」をモチーフに、再現不可能な“ドキュメンタリーの一瞬”を表現したデザインで、学内の66名による提案から選出。映画祭のメインビジュアルとして、全国の映画館や文化施設などに約3,000枚が掲出される。


【インターナショナル・コンペティション部門 上映作品一覧】

■日泰食堂 Another Home
監督:フランキー・シン(台湾、香港、フランス/2024/83分)
民主化デモとパンデミックに揺れる、離島の食堂での日常を描く初長編。

■ダイレクト・アクション Direct Action
監督:ギヨーム・カイヨー、ベン・ラッセル(ドイツ、フランス/2024/212分)
占拠地ZADで暮らす環境活動家たちの姿をとらえた共同制作作。

■彷徨う者たち L’Homme-Vertige
監督:マロリー・エロワ・ペイズリー(フランス、グアドループ/2024/93分)
再開発が進むグアドループで、5年かけて市井の声を記録。

■Ich war, ich bin, ich werde sein!
監督:板倉善之(日本/2025/100分)
大阪・釜ヶ崎を舞台に、人々の語りと風景を長回しで映す。

■亡き両親への手紙 Letters to My Dead Parents
監督:イグナシオ・アグエロ(チリ/2025/106分)
家族の記録とチリの歴史を重ね合わせた私的アーカイブ。

■愛しき人々 Malqueridas
監督:タナ・ヒルベルト(チリ、ドイツ/2023/74分)
刑務所内で女性たちが密かに撮った映像から生まれた作品。

■公園 Park
監督:蘇育賢(台湾/2024/101分)
台南の公園を舞台に、詩人たちが紡ぐ声と想像のラジオ放送。

■終わりなき夜 Rising Up at Night
監督:ネルソン・マケンゴ(コンゴ民、ベルギーほか/2024/96分)
停電と洪水に覆われた都市の夜に響く祈りと音楽を捉える。

■季節 The Seasons
監督:モーレン・ファゼンデイロ(ポルトガルほか/2025/83分)
神話や自然、歴史が重なり合う土地を詩的に旅する。

■標的までの時間 Time to the Target
監督:ヴィタリー・マンスキー(ラトビア、ウクライナほか/2025/179分)
戦下のウクライナ西部で暮らす人々の緊張と日常を記録。

■トレパネーション TrepaNation
監督:アンマール・アルベイク(シリア、フランス、ドイツ/2025/222分)
亡命作家が記憶と喪失をめぐる旅を映像で綴る。

■ずっと一緒に Welded Together
監督:アナスタシア・ミロシュニチェンコ(フランスほか/2025/96分)
依存症の母との再出発を試みる若者を追った家族の記録。

■A Window of Memories
監督:清原惟(日本/2023/67分)
祖母たちの語りを孫が朗読し、記憶が世代を越えて交差する。

■ガザにてハサンと With Hasan in Gaza
監督:カマール・アルジャアファリー(パレスティナほか/2025/106分)
過去のビデオ映像を軸に、ガザの記憶と歴史を問い直す。

※残り1作品は後日発表予定。


【開催情報】

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2025
開催期間:2025年10月9日(木)〜10月16日(木)
会場:山形市中央公民館、山形市民会館、フォーラム山形、やまがたクリエイティブシティセンターQ1 ほか
主催:認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
公式サイト:https://www.yidff.jp

画像提供:山形国際ドキュメンタリー映画

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