【インタビュー】『レッド・ツェッペリン:ビカミング』本日公開!「なぜ今ツェッペリンを描くのか」バーナード・マクマホン監督が語る創作の舞台裏
伝説的ロックバンド、レッド・ツェッペリン初の公認ドキュメンタリー映画『レッド・ツェッペリン:ビカミング』が、本日より全国公開がスタートした。ジミー・ペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナム、ロバート・プラントという4人がいかにして“史上最強のバンド”へと歩みを進めたのか。その知られざる軌跡を、メンバー自身の証言と貴重なアーカイヴ映像で描き出す、まさに唯一無二の「映画オデッセイ」だ。
監督を務めたのは『アメリカン・エピック』で高い評価を得たバーナード・マクマホン。数年にわたるフィルム修復やアーカイヴ交渉を経て完成した本作は、北米IMAX独占公開でも大きな反響を呼び、いよいよ日本のスクリーンに登場する。
今回、公開に合わせてマクマホン監督のオフィシャルインタビューが到着した。作品に込めたこだわりや、ツェッペリンを撮る理由を語る貴重な内容になっている。
バーナード・マクマホン(Bernard MacMahon)
イギリス出身の映画監督・脚本家。アメリカ音楽の起源を描いたドキュメンタリー『アメリカン・エピック』(2017)で国際的に高い評価を獲得。精緻なアーカイヴ映像の修復と独自の映像美で知られる。
――この映画のルックはとても意図的ですね。
最終的なゴールは、観客が映画館を出た時に『まるでその場にいたようだった』と言ってもらえることです。バンドの音楽を聴き、当時のありのままの姿を目にし、そこにいた人々や時代の空気を感じ取る。そして、その時代の社会状況や世界情勢を理解することで、なぜこのグループがそうであったのかを深く理解することができる。
アーカイブが鮮明であればあるほど、純粋な状態に近づき、観客はその瞬間に再び身を委ねることが容易になる。フィルムや音声にダメージがないということは、その時代に没入する際に障害となるものが何もないということです。これを達成するには、フィルム映像と音声の数年にわたる修復作業が必要でした。映画アーカイブのフィルム映像が2時間の映画のうち1時間半を占めることを考えると、膨大な量になる。私たちは時間のベールを取り払いたいと考え、そのために必要だったのは、フィルム映像、写真、物理的なアーカイブのすべてをクリーニングすることでした。
しかし、修復はそのソース素材があってこそのものですから、観客に最も直感的な体験を提供するためには、オリジナルのビジュアルとサウンドの要素をすべて手に入れる必要がありました。当然のことながら、多くの公文書館はこのような資料を渡すことを好みません。しかし、私たちは各アーカイブハウスと交渉し、彼らの最も貴重なフィルムや音源をバーバンクとサンタモニカの私たちの施設に輸送することを許可してもらったのです。これにより、これらの映像は何年も前にスキャンされた際よりも、音質と画質を高めることができました。
私たちはまた、アーカイブのフィルム映像をデジタル着色や加工で均質化せず、ビジュアル面でもありのままにこだわりました。観客が1937年から1957年、そして1967年のフィルム映像を見ていることがわかるように、フィルムストックのオリジナルの色や色合いに忠実であることを選びました。インタビュー撮影も同様に、ヴィンテージレンズを使用することで、よりアーカイブ映像に近いルックを実現したのです。
――なぜ今、レッド・ツェッペリンの映画を制作しようと思ったのでしょうか?そして、なぜバンドの初期の時期に焦点を当てたのでしょうか?
12歳の時、彼らの物語を読んで心を奪われ、それが大きなインスピレーションとなり、若い人々に夢を追い続ける力を与える映画を作りたいと考えるようになったのです。彼らの物語は、冒険の旅のようで、メンバーがどのように道を切り開いていったのかが特に魅力的でした。物語の始まりの部分は、視聴者、特に若い人々に強く共鳴する重要なポイントだと思います。成功への道のりに伴うその過程での苦労が分かるからです。挑戦、挫折、そして成功 – これは誰にとっても普遍的なものです。しかし、レッド・ツェッペリンが頂点に達したあとの話、あまりにも特別な境地に達しており、多くの人々には共感しにくくなります。頂点に至るまでの道のりこそ、誰しもが感じ得る共通の旅路であり、視聴者はその道のりを一緒に体験することがで、インスパイアされるのです。この映画のコラボレーションが本当に素晴らしく、すべての努力が見事に形になったと感じています。
――バンドメンバーに別々にインタビューしたのはなぜですか?
インタビューの序盤の大半は、各メンバーの生い立ちや、彼らにインスピレーションを与えた音楽について話すことになるとわかっていました。そのため、全員揃ってのインタビューでは、うまく進まないことは明らかでした。さらに、最初の打ち合わせの雰囲気から、彼らにリラックスして率直に、そして正直にすべてを語ってもらうためには、個別のインタビューが最良の方法であると判断しました。ほとんどのドキュメンタリーは、歴史家やジャーナリストのような第三者やナレーターを介して、感情的なポイントを押さえたり、ストーリーを進めたりしますよね。しかし、本作では、メンバー自身が一つひとつの出来事を具体的に説明するだけでなく、それを思い出すことで感情があふれ出る様子を捉えることが重要でした。最初の1年の大半を一緒に過ごし、結束の固いミュージシャンたちの物語を、彼らを同じ部屋に集めずにどう伝えるか?彼らが映像の中で一緒にいないなら、どうやって仲間意識を伝えればいいのか?私たちは、連日まったく同じセットで各人にインタビューし、カメラを常に動かすことで、彼らがひとつの部屋に集まっているような感覚を作り出すことができると考えたのです。
――この映画をこれから観る人にメッセージをお願いします。
この映画は、自分の人生で何をしたいかをちょうど考えているティーンエイジャーのために作りました。野心的な目標にどのように取り組むか、磨くべきスキル、自分の中に見つけるべき決意と目的、そして他人と協力する力を示しています。私は、その世代に響く洞察、アイデア、アプローチを提供できる映画を作りたかったのです。この映画は、それが音楽であれ、その他の野心であれ、それを実現する道筋を示してくれるはずです。
そして、この映画ではIMAXが観客をまるでコンサート会場にいるかのような感覚にさせてくれます。IMAXの音響と映像は、臨場感を生み出し、観客はレッド・ツェッペリンの音楽とともに、彼らの旅路を体験できるのです。レッド・ツェッペリンについて何も知らない観客でも、この映画は共感を呼ぶ要素をしっかりと備えています。この映画はブロードウェイのミュージカルのように、何度も観たいと思わせるミュージカルジャーニーです。これは、この映画の大きな魅力の一つです。何度でも観る価値があるように作られています。4人のメンバーとともに当時を再体感する、まさにユニークにして最高の没入型「映画オデッセイ」。みなさんも、レッド・ツェッペリンと同じ景色や音楽に慕ってください。そして是非、最高の音響環境でご覧いただけると嬉しいです。Play Loud!
『レッド・ツェッペリン:ビカミング』
25年9/26(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかIMAX®同時公開!
【キャスト】
ジミー・ペイジ
ジョン・ポール・ジョーンズ
ジョン・ボーナム
ロバート・プラント
【スタッフ】
監督・脚本:バーナード・マクマホン(「アメリカン・エピック」)
共同脚本:アリソン・マクガーティ
撮影:バーン・モーエン
編集:ダン・ギトリン
2025年/イギリス・アメリカ/英語/ビスタ/5.1ch/122分
日本語字幕:川田菜保子
字幕監修:山崎洋一郎
原題:BECOMING LED ZEPPELIN
配給:ポニーキャニオン
提供:東北新社/ポニーキャニオン
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