『ヒポクラテスの盲点』日本記者クラブで特別試写会レポート 大西隼監督「ワクチン後遺症は無かったことにできない」

新型コロナワクチンをめぐる真実に切り込むドキュメンタリー映画『ヒポクラテスの盲点』。公開に先立ち、9月29日(月)に日本記者クラブで大西隼監督を迎えた特別試写会が行われた。当日はマスメディア関係者や被害当事者も数多く来場し、上映後には監督との質疑応答が行われ、活発な意見交換が繰り広げられた。

本作は、新型コロナワクチン接種後に相次いだ後遺症や死亡事例、そしてその影で声を上げ続ける医師や研究者たちを追った作品だ。mRNAワクチンの安全性や有効性をめぐる議論、社会に横たわる沈黙や忖度の構造を浮き彫りにしながら、「私たちは何を信じてきたのか」を問いかける。

大西監督は、本作を製作することとなった経緯について、「私自身、三回接種しました。さらに、テレビマンユニオンで当時職域接種の推進役を担いました。接種当時は、ワクチンを強く疑うことはなく、大学院まで生命科学を勉強していたので少し論文を読んだり、知識があったり考えたりすることはできていたけど、正しく解釈するということはできていなかったと、当時を振り返ると思います。1ミリくらい、『これは本当に安全なんだろうか』『どれほどの有効性があるのだろうか』という部分は、自分の中にずっとありました。アフターコロナになり、経済活動が再開されて、公私共に忙しくなり忘れていましたが、2023年の春頃、少し時間ができ、YouTubeやXを見ることで、ワクチンによる後遺症の被害や死亡例を知りました。そして福島先生のサンテレビの取材映像を見つけ、大手メディアでは取り上げられていない事実を見て、ワクチンはポジティブなところがあった反面、3・4回目の接種を進めたことはネガティブであったということをきちんと知りたかったし、福島先生方が何に憤りを感じているのか、何を根拠にしているのか知りたくなって企画として進めました」とした。

ワクチンを推進してきた医学者や厚生労働省にも取材申し込みをし、全部断られたのかという質問に対しては、「学会にも専門家にも沢山断られてきました。ほぼ1人で進めてきたので、全員にオファーするというのは現実的に無理でした。対面まで行けた方もいるか、映像がハードルとなり、本作への出演などは叶わなかったです」と答えた。

菅官房長官、岸田首相、河野大臣など、ワクチンを進めてきた政治家を取り上げているが、文化庁の助成金などは取り消しにならないのかという指摘に対しては「文化庁が映画製作にお金を出してくださっているというのは、申請書に推進派や後遺症の家族にも取材したい、研究のプロセスを追いたいと書いたので、この件は表現の自由の問題であって、科学的にワクチンが正しいか悪いか主張する映画ではないと判断したのだと思います。一人の制作者がある動機の元に、何かを知りたい、伝えたいと思っていることに問題がないと思ってくださったということだと思います」と表現の自由について触れながら答えた。

チラシに「大手メディアがほとんど報道しない」と書いてある点や、映画の中でワクチンについて否定的な書き込みが消されてしまう場面について問われると、「僕自身、職域接種を担当した経験もありますし、偉そうに追求することができる立場ではないというのはあります。ただ、問題を知ってから、メディアでも報道されるチャンスがあったのに、色んな段階で無くなっていったことを知ると、必ず各メディア内において、明確な検証が必要であると思います」とした。

最後に、実際にコロナワクチンを接種してからわずか15分後に症状が出て、それから何年も体調を崩されているという被害者の方から質問が飛んだ。感情を抑えきれず、観ている途中にも動悸が収まらなかったが「本当に観てよかった」と語り、死亡者や被害者が出ているのに「重大な懸念はない」と国が主張している件について問われると、大西監督は「ワクチンを接種して後遺症が出るという現実、頻度は稀かもしれないけど確実に起こってるというのが、ワクチンの一つの側面だと思っています。頻度は稀だから多くの人が忘れたり気にも留めないのかもしれないけれど、自分がもしその立場になったらということを考えたら、ワクチン後遺症というものは、無かったことにできないと社会に生きる1人として思います」と熱く語った。

映画『ヒポクラテスの盲点』は、科学的データの検証と当事者の証言を通して、これまで大きく取り上げられることのなかった問題に光を当てる作品だ。国や社会が直面する課題を真正面から描き出し、観客に問いを投げかける本作は、10月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開される。

『ヒポクラテスの盲点』
2025年10月10日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

監督・編集:大西隼
撮影:井上裕太
音楽:畑中正人
CG:高野善政
プロデューサー:杉田浩光、杉本友昭、大西隼

出演:福島雅典(京都大学名誉教授)、藤沢明徳(ほんべつ循環器内科クリニック理事長)、児玉慎一郎(医療法人社団それいゆ会理事長)、虻江誠、上島有加里、上田潤、大脇幸志郎、宜保美紀、新田剛、森内浩幸、楊井人文

製作:「ヒポクラテスの盲点」製作委員会
制作・配給:テレビマンユニオン
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会

2025年/日本/ステレオ/16:9
(C)「ヒポクラテスの盲点」製作委員会
公式サイト: hippocrates-movie.jp

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