「TBSドキュメンタリー映画祭2026」大阪・京都・福岡・札幌で舞台挨拶開催!4/3~4/5イベントレポートまとめ
TBSテレビおよびJNN系列の記者・ディレクターたちが現場で掴んだ事実と向き合い、魂を込めて制作してきたドキュメンタリー作品を上映する「TBSドキュメンタリー映画祭」が、現在全国6都市で開催中だ。東京会場では満席回が続出するなど大きな反響を呼び、その熱気は大阪・名古屋・京都へと拡大。東京会場での開催を大熱狂のうちに終え、4月3日より、福岡はキノシネマ天神、札幌はシアターキノの各会場で開幕し、4月3日~4月5日までの3日間で、現在開催中の大阪・京都会場と合わせて計10回の舞台挨拶が行われた。
また、満席が続出している『THE LAST PIECE -Glow of Stars-』は、多くの好評の声と上映回数追加のご要望を受け、ヒューマントラストシネマ渋谷(東京)、テアトル梅田(大阪)、センチュリーシネマ(名古屋)、アップリンク京都(京都)での追加上映が決定している。
■4月3日(金)@テアトル梅田
『War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁』
登壇者(敬称略):川嶋龍太郎監督、山口馬木也(俳優)
太平洋戦争直後にアメリカ兵と結婚し海を渡った「戦争花嫁」を描いた第1作『War Bride 91歳の戦争花嫁』は好評を博し、その流れで舞台化された「WAR BRIDE ーアメリカと日本の架け橋 桂子・ハーンー」では俳優の奈緒が主演を務め、父親役に山口馬木也が起用された。奈緒が実際の「戦争花嫁」たちを取材した様子を描いたドキュメンタリーが『War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁』である。川嶋龍太郎監督と、ナレーションを務めた山口馬木也による舞台挨拶が行われた。
川嶋監督は「映画の中の桂子・ハーンは私の伯母なんです」と語り、自身の身内の人生を深く追ってみたいと思ったことが製作のきっかけになったと明かした。舞台で父親役を演じた山口は、当時、その人物像をなかなか掴めきれずにいたが、ふとしたエピソードが実際の父と重なり、「目に見えないものを大事にしようと思う時期にも重なって、思い入れのある作品になりました」と語った。
さまざまな人生を歩んできた90歳を超えた4人の花嫁たち。ひとりひとりが波瀾万丈な経験を経て、それぞれに輝いている。「女性が輝いている姿をなるべく多くの方に知ってもらいたい」と川嶋監督。山口は「エンターテインメントには力がある」と語り、「その力をお借りして、もっと多くの方に届けることができれば」と思いを込めた。
■4月4日(土)@テアトル梅田
『ブルーインパルスの空へ』
登壇者(敬称略):渡部将伍監督、松浦翔矢1等空尉(ブルーインパルス3番機パイロット)
2025年シーズンの航空自衛隊ブルーインパルスを追うドキュメンタリー『ブルーインパルスの空へ』渡部将伍監督と、パイロットの松浦翔矢1等空尉による舞台挨拶が満場の会場で行われた。
元々、政治部で自衛隊担当として取材を行なっていた渡部監督は、ブルーインパルスが大阪万博で飛ぶことを知り、隊員の中に大阪出身の松浦空尉の名前を見つけ、「何かあるのでは」と密着を始めたという。松浦空尉に触れていくうちに、その思い入れが想像以上であるとわかり、「ニュース映像を超えて映画になるだろう」と感じたといい、映画化の経緯を語った。
本編中で、15歳の時からの夢であったことが、ご家族への取材で学生時代の文集から掘り起こされたことについて、松浦空尉は「私が知らない間にそこまで調べられていて」と監督の取材力に感心した様子を見せた。
また、大阪万博での飛行が天候のために一度中止になったエピソードに触れ、「どこかに〝雨男“がいると思うんですよ」と監督を見つめ、「TBSのクルーが来る10分前に雨が降ってくることもあって…ほら、今日も雨でしょう?」と会場の笑いを誘った。
渡部監督は、「この題材はブルーインパルスですが、対象はなんであれ、一生懸命夢に向かう姿を追いました。観ていただいた方にとって、何かに打ち込むきっかけになればいいなと思います」と語った。
■4月4日(土)@テアトル梅田
『War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁』
登壇者(敬称略):川嶋龍太郎監督、山口馬木也(俳優)
アップリンク京都にて映画『War Bride 2 奈緒と4人の戦争花嫁』の舞台挨拶が行われた。上映終了後の熱気が冷めやらぬ会場に、川嶋龍太郎監督と俳優の山口馬木也が登壇。本作でナレーションを務めた山口は、劇中に登場する桂子・ハーンの父親役を舞台版でも演じており、”父娘”の深い縁を感じさせるトークが展開された。
川嶋監督は、本作の制作経緯について「4人の戦争花嫁のうち、桂子・ハーンは私の伯母にあたります。彼女たちの話を聞くうちに、これは1930年から現在まで続く壮大な”朝ドラ”だと確信しました」と語る。山口をナレーターに起用した理由については、「舞台版で伯母の父親(監督の祖父)を演じていただいた山口さんに、今度は映像で父親の視点から声を吹き込んでほしかった。その温かさが、作品にさらなる説得力を与えてくれました」と明かした。
主演映画『侍タイムスリッパー』のヒットでも注目を集める山口は、本作との出会いを自身の人生の転機と重ねて振り返った。「俳優という仕事の難しさに直面していた時期に、この作品に出会いました。戦後、見知らぬ土地で逞しく生きた女性たちの姿を通じ、愛すること、信じること、そして未来を見据えて今を生きることの大切さを教わりました」と、作品への深い思い入れを熱弁した。
ティーチイン(質疑応答)では、前作の舞台版も鑑賞したという観客から、「舞台のラストシーンと、映画で描かれる実際の景色がオーバーラップして感動した」という声が上がった。 山口は、「舞台の稽古中、当時はまだ見ぬ現地の景色を想像し、共有しながら演じていました。今日、皆さんの前でその答え合わせができたような気がして嬉しいです」と感慨深げに答えた。
最後に川嶋監督は、映画祭という枠を超えた今後の展望を語った。 「90歳を過ぎてもなお輝き続ける彼女たちの物語を、全国の皆さんに届けたい。そのためには、皆さんの声が必要です。ぜひ『この映画を全国で見たい』という思いを広めてください」と語ると、山口も「この歴史を、そして彼女たちの思いを、次の世代へと繋いでいきたい」と力強く結んだ。会場は終始温かな一体感に包まれたまま幕を閉じた。
■4月4日(土)@テアトル梅田
『矛盾に抱かれて 音楽 建築 哲学 悲哀 循環』
登壇者(敬称略):時崎愛悠監督、畠中秀幸(フルート奏者・建築家)、小川紗綾佳(作曲家・シンガーソングライター・打楽器奏者)
劇場にフルートとピアノの美しい音色が響き渡り、静寂が訪れたあと、拍手が巻き起こった。明転すると、笑顔の人、涙を流している人、黙考している人、観客ひとりひとりが様々な表情を浮かべているのがわかる。満席のなか、舞台挨拶に立ったのは時崎愛悠監督と、出演した左手のフルート奏者・畠中秀幸、ピアニストの小川紗綾佳。
時崎監督は「取材をはじめたのはちょうど1年前の4月1日。ずっと追いかけてきて、畠中さんの哲学がようやくわかったと思えたのは去年の11月」と正直に吐露した。そんな監督の言葉に、畠中は「僕のことをよく理解して映画にしてくれたと思います。ただ、映画は時崎さんが僕をどう解釈したかで、お互いの考えに違いがあるのは当たり前。取材していく過程でも違いを認め合い、対話しながらつくっていたと思う」と返した。
映画のメイン曲『雪の翼』を作曲した小川は、「冒頭から涙が出ました」と感動が冷めやらない様子で、「生きられなかった命も、これから生まれてくる命も、大切にできる世の中にしていきたい」と曲に込めたメッセージを観客に伝えた。
舞台挨拶では生演奏も行われた。『雪の翼』の前半と、『カッチーニ』だ。1音1音が心の奥まで届くようなフルート、そしてその音に寄り添うような優しいピアニカ。映画館がコンサートホールに一瞬で変わった。
最後に時崎監督は「みなさんも日々の暮らしの中でつらいことや、うまくいかないことがあると思います。そんなとき、畠中さんのフルートを思い浮かべてもらい、糧にしてもらえたら嬉しいです」と語った。
■4月5日(日)@アップリンク京都
『鈴木順子「私は生きる」ー脱線事故20年、記憶の軌跡ー』
登壇者(敬称略):橋本佐与子監督、鈴木順子(陶芸作家)
アップリンク京都にて、『鈴木順子「私は生きる」ー脱線事故20年、記憶の軌跡ー』の舞台挨拶が行われた。登壇したのは、本作で描かれる中心人物、陶芸作家の鈴木順子、母のもも子、そして20年にわたり一家を取材し続けた橋本佐与子監督。
2005年のJR福知山線脱線事故。橋本監督は事故直後から現場に立ち、取材を続けてきた。「当時は20年後の姿を映画にするなんて想像もしていませんでした」と振り返る橋本監督。「テレビのニュースとして始まった取材が、こうして映画という形で残り、皆さんに届いたことに心から感謝しています」と、長きにわたる年月を噛み締めた。
事故で重傷を負い、過酷なリハビリを経て陶芸作家となった順子は、「自分が映画に出るなんて信じられない気持ちですが、これが事実です。困難を乗り越えたいという想いが伝われば」と、静かながらも力強い言葉で現在の心境を語った。
上映中、場内からはあちこちで鼻をすする音や、啜り泣く声が漏れ聞こえていた。母・もも子は、これまでの試写会や別会場での上映を振り返り、観客の反応を大切に受け止めている。「以前、ご覧になった方に感想を聞くと『たくさんの方に支えられてきたんですね』と言われました。私たちは当事者ですが、観客の皆さんはご自身の抱えてきた苦しみや葛藤を、映画の映像に重ね合わせ、鏡のようにしてご覧になっているのではないかと感じています」と語る。「『塞翁が馬』という言葉がありますが、怪我をしたからこそ、今こうして皆さんと幸せを共有できている。映画が皆さんの心に寄り添うものになれば嬉しい」と、会場へ向けて温かな眼差しを送った。
本編では、事故当時に順子さんを救命し、その後過労により逝去した長谷貴将医師のご遺族(妻・洋子さん)へのインタビューが大きな反響を呼んでいる。橋本監督は、長年交流のあった洋子さんへの取材について、「これまでの関係が崩れるかもしれないという葛藤もありました」と吐露。しかし、「長谷医師が救った命(順子)が、今度は遺された奥様の生きる希望になっている。その繋がりをどうしても伝えたかった」と語った。もも子も「先生には元気になった姿を見てほしかった。今でも悔しさはありますが、こうして作品として残ったことが何よりの供養になる」と涙ながらに語った。
今後の目標を問われた順子は、「まだ模索中ですが、せっかく助かった命。何かを見つけて突き進みたい」と前を向く。トークの終盤では、映画祭アンバサダーのLiLiCoが順子の「ハート型の時計」の作品を大変気に入り、橋本監督が私物をプレゼントしたというエピソードも披露された。もも子から「早く次の作品を作ってね」と愛のあるプレッシャーをかけられると、順子は「まさか陶芸家になるとは思っていませんでしたが、皆さんに気に入っていただける作品を精一杯作りたい」と笑顔を見せ、会場は再び温かな拍手に包まれた。
■4月5日(日)@キノシネマ天神
『野島伸司 いぬ派だけど ねこを飼う』
登壇者(敬称略):津村有紀監督、大村由紀子 (RKB毎日放送ディレクター『魚鱗癬と生きる 遼くんが歩んだ28年』『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』監督)
一年ぶりにキノシネマ天神に立った津村有紀監督と、同じく昨年、『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』の監督として同劇場に登壇した盟友・大村由紀子氏が、二人揃って舞台挨拶に登場した。
大村氏が「(映画を見て)津村監督の野島伸司さんへの愛と尊敬を感じた。ある意味ラブレターのような一本」と評すると、津村監督も「もちろん尊敬している。野島さんとはこの映画にあるように居酒屋で会うことがほとんどだが、そんな飲みの場で話していただく宝石のような言葉を、ぜひ他の人にも聞いてもらいたいと思い、カメラを回した」と面映そうに答えた。
続けて大村氏が「この映画をきっかけに、野島さんが手がけたドラマ「家なき子」を久しぶりに見返した。ストーリーは戯曲的だが、当時の金満主義の風潮に対し、貧困に苦しむ主人公を描くことで、ドキュメンタリーのようなリアルな視点を作品世界に忍び込ませることに成功している。冷静に時代を見抜いていたんだなと思わされた。他の作品でも家庭内性暴力など、ドキュメンタリー映画より20年も早く作品の中で描いていて、フィクションだからこその問題提起や社会の描き方があることを思い知らされた」と語り、フィクションの名手をノンフィクションとして記録するという、この作品ならではの舞台挨拶となった。
■4月5日(日)@キノシネマ天神
『共に、世界一へ デフサッカー日本代表の軌跡』
登壇者(敬称略):鴻上佳彦監督、松元卓巳(デフサッカー男子代表キャプテン)
4月3日に初日を迎えた福岡・キノシネマ天神で、『共に、世界一へ デフサッカー日本代表の軌跡』の舞台挨拶が行われ、鴻上佳彦監督とデフサッカー男子代表キャプテン松元卓巳選手が登壇した。
松元選手は壇上で東京デフリンピック2025の銀メダルを披露すると、高校2年生で代表になって以来の思いを語った。デフサッカーを通して自分の居場所や仲間を見つけることができたこと、そして親や家族への感謝を伝えるためにも、大好きなサッカーで「世界一」を獲ることが、最前線でプレーし続ける原動力だったという。「まだ気持ちの整理はついていない」と手話を交えて語り、涙で言葉を詰まらせる場面もあった。
「もう銀はいらない、ここにいる皆さんと一緒に金を獲ります」と力強く結ぶと、満席の客席からは手話による拍手が巻き起こった。
それを受けた鴻上監督は、「松元選手を追い続けているのは、素晴らしい笑顔と、何よりチームを引っ張っていける言葉を持っている人だからです。その言葉を他の人にも伝えたくて追いかけている。今もまたそんな場面に立ち会えました。銀メダルは事実としては悔しい結果ではありますが、映画として考えたら最高の展開。次に金を獲るストーリーが見える」と笑顔で締めた
『THE LAST PIECE -Glow of Stars-』 追加上映情報
【ヒューマントラストシネマ渋谷(東京)】
4/10(金)18:30 / 4/11(土)13:10 / 4/12(日)17:45 / 4/13(月)18:30 /4/14(火)20:50 / 4/15(水)18:30 / 4/16(木)18:30
【テアトル梅田(大阪)】
4/10(金)13:45 / 4/11(土)13:45 / 4/12(日)13:45
【センチュリーシネマ(名古屋)】
4/10(金)12:35 / 4/11(土)12:35 / 4/12(日)12:45 / 4/13(月)~4/16(木)12:35
【アップリンク京都(京都)】
4/10(金)20:30 /4/11(土)15:00 / 4/12(日)11:30 / 4/13(月)~4/16(木)20:30
<開催概要>
「第6回 TBSドキュメンタリー映画祭2026」
2026年3月13日(金)より東京・大阪・京都・名古屋・福岡・札幌の全国6都市にて順次開催される。
※一部の作品は上映されない会場があります。
東京:ヒューマントラストシネマ渋谷|3月13日(金)〜4月2日(木)
大阪:テアトル梅田|3月27日(金)〜4月9日(木)
名古屋:センチュリーシネマ|3月27日(金)〜4月9日(木)
京都:アップリンク京都|3月27日(金)〜4月9日(木)
福岡:キノシネマ天神|4月3日(金)〜4月16日(木)
札幌:シアターキノ|4月4日(土)〜4月10日(金)
主催:TBSテレビ
公式サイト:https://tbs-docs.com/2026
公式X:@TBSDOCS_eigasai









