【コラム】『アース』これが私たちの生きる星のすべて――息を呑む映像美で体感する生命のドラマ|ドキュメンタリー映画[初心者]が観る!はじめての20本【第6回】

ドキュメンタリーに興味はあるけれど、どこから観ればいいのか分からない――

そんな“初心者の目線”から、国内外の作品を紹介していきます。難しい前提知識や専門用語には頼らず、作品の面白さと、ドキュメンタリーの見方の入り口を探っていきます。

第6回:『アース』(2007)
これが私たちの生きる星のすべて――息を呑む映像美で体感する生命のドラマ

こんな人におすすめ!
・自然や動物に癒されたい方
・地球の知らない一面に興味がある方
・自分が今いる場所(地球)の素晴らしさを再確認したい方

ドキュメンタリーゲージ(★5段階)
親しみやすさ :☆★★★★
インパクト  :☆☆★★★★
考えさせられる度:☆☆☆★★
いま観る意味 :☆☆☆★★

今回は、壮大な自然と動物たちの営みを映し出した『アース』(2007年)をご紹介します。

皆さんは自然、もしくは動物たちとどれくらい関わりを持って生きていますか?日頃から山や海に囲まれて過ごしている人、ペットと一緒に暮らしている人、観葉植物や野菜を育てている人など、きっと様々な形で自然や動物と関わっている人も多いはずです。そんな自然や動物、そして我々人間が共生する広大な「地球」という舞台に、その美しさや時に見せる厳しさを偽りなく切り取っているのがこの作品の特徴。ぜひできる限り高画質&大画面で観ていただきたい作品です。

■思わず声を漏らしてしまう映像美

世界200ヵ所以上で、5年かけて撮影した(※)作品というだけあって、何よりその「壮大さ」には何度も息を呑んでしまいます。

まず映画が始まるや否や、世界のあらゆる自然を思い浮かべるような音楽に、真っ青な地球の映像が流れ始めます。そして私たち人間にとって未知とも言える北極の様子からスタート。観客をグッと引き込み、同時にワクワクを感じさせる演出には、これからこの映画が映し出す世界の規模を感じずにはいられません。そんな俯瞰した「壮大さ」だけでなく、植物や動物、ふわふわとした雪やカラッと乾いた土など、至近距離で生命の息吹を捉えた映像も混ざり合う中で、地球という巨大な惑星の中で小さくても懸命に生きる者たちの姿が垣間見えます。

具体的にご紹介するとすれば、雄大な自然に溶け込む動物たちの群れが圧巻。思わず「すごい……」と言葉を漏らしてしまうほど、心が動かされた映像でした。また至近距離で言えば、ホッキョクグマの母親と子供が果てしない雪原をひたすら歩き続ける様子はどこか人間の家族にも重なるようで、別の場所に生きる別の生き物であるにも関わらず感情移入できてしまうから不思議です。本作の中心となるのはまさにホッキョクグマ。最後まで彼らの生活が軸に描かれていくのもぜひ注目していただきたいです。

■四季折々の動物たちが魅せる生命のドラマ

冬を感じさせるホッキョクグマの姿だけでなく、四季折々の様々な動物たちの営みも映し出されます。あらゆる動物たちが動き出す春の映像は、鳥の鳴き声も相まって暖かさが伝染してくるように感じるはずです。初めて飛ぶ雛たちにはどこか勇気がもらえます。

また、雪山と同じように砂漠も過酷。子供は育つ前に餌食になってしまうこともあります。そんな彼らを最後まで追うのではなく、彼らの懸命に生きる様だけを見せてくれるのもリアル。きっと子供は生き延びることはなかったのだろうと想像するのは悲しいですが、今も自然の中ではそういったことが起きているのだと、弱肉強食、そして自然の怖さも改めて認識させられます。

さらに赤道のエリアでは見たことのない色鮮やかな鳥たちが潜んでいて、これまた興味深い。特にカンザシフチョウのダンスパフォーマンスは特に印象的です。(今の時代なら「AIで作られた映像かな?」と疑ってしまうかもしれません)。そして海ではサメや鯨といった迫力ある生き物たちに加え、クラゲや魚たちの様子も間近で捉えていて、最後まで目を奪われることでしょう。

筆者は以前海外旅行に出かけた時、遠い異国の地であるにも関わらず、あっという間に着いてしまったため「世界はそれほど広くないのかもしれない」と思ったことがありました。しかしそれは、飛行機が飛び交う都市エリアを結んでいたからであって、自然溢れる地域も併せたら、確かに地球は広いのだと本作を観て改めて実感しました。

この作品は約20年前のものであり、当時と比べると現在の環境は大きく変化しているでしょう。この作品をきっかけに、人間である自分には何ができるのか、改めて考えてみようと思いました。

【参照】
※映画.com『アース』作品ページ https://eiga.com/movie/53253/(2026年5月31日閲覧)

 

文:伊藤万弥乃
海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語の勉強中。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

 

『アース』
2007年製作/98分/ドイツ・イギリス合作
原題または英題:Earth
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場公開日:2008年1月12日
配信:Amazonプライム

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